【4/5】麻の実の潜在力[麻の実実践講座]
麻の実(ヘンプシード)は、既に明らかになっている栄養素だけでも凄いのですが、まだまだ研究されていない部分が多数あります。とくに高い健康効果をもたらす可能性は叫ばれており、世界中の研究者が、その潜在的な可能性を立証すべく、取り組んでいる状況です。
また、日本では大麻関連法が大きく改訂され、栽培免許を付与する各都道府県においても、精神作用成分(THC)を有さない食用の麻の実についても前向きに開放される気運が出てきました。そうした法律変更に伴って、実現の可能性が高まっている分野についても紹介いたします。
これらはまだ研究段階のものが多いですが、今後の研究を経て、さらなる客観的な価値と繋がっていくことが期期待されます。
そんな潜在的な可能性を駆け足でもイメージしておくと、麻の実を『より前向きに・より有難く』より期待感をもった心地で食べることができるかと思います。新しい価値が見出されていく未来に向けて、麻の実生活を続けていければと思う次第です。
・フィトケミカル
植物由来の化学物質。人の体に役立つ機能性が発見されており「第7の栄養素」とされる。麻の実固有の成分が発見されており、世界中で熱心に研究されている。

・麻の実由来メライノジン(メイラード反応)の健康効果
麻の実に含まれる「たんぱく質(アミノ酸/ペプチド)」と「糖」が、とくに「高温」を介して結びつくことで独特な香りが生まれます。これは「メイラード反応」といい、食品(パン、ステーキ、味噌、醤油などもメイラード反応を経て作られます。)の美味しさに欠かすことができない現象です。
そうして、できあがる褐色色の物質を「メライノジン」といいます。米粉100%パンと比較すると一目瞭然ですが、麻の実は、メイラード反応が生じやすい食品です。


写真左が米粉100%。写真右が麻入り。
当店のパンやスイーツ、ピッツァなど焼いてつくるものは、当然のこと、メイラード反応を経てできあがります。
このメライノジンという褐色物質には、以下のような健康効果があることは一般的に分かっています。
・細胞を若々しく保つ効果
・血流を改善する効果
・便秘を解消する効果
残念ながら、メイラード反応のメカニズムは、まだハッキリと明らかになっておらず、この麻の実由来メライノジンによる健康効果も、はっきり数値をもって伝えることはできません(研究者も少ない状況です)。
麻の実を混ぜて焼いた食品は、独特な色合いですが、これは、抗酸化作用を持ち、血管内の健康を守る健康効果もある、というイメージをもっていただけたら、と思います。
・麻の実ペプチドの健康効果
前述・麹の説明時にお伝えいたしましたが、麹によって、たんぱく質がアミノ酸に分解される過程でペプチドという形態になることをお伝えしました。2個以上のアミノ酸がつながった状態を指します。

麻の実たんぱく質が麹で酵素分解されたペプチドによる健康効果についても、いま積極的に研究されているようです(昨今、関係論文を多く見かけます。)
麻麹が秘める可能性として、期待を寄せていただければ幸いです。
・スプラウト
ブロッコリー・スプライトや発芽玄米など、発芽したての種子は、消化吸収がしやすくなるだけでなく、栄養価の向上が期待されます。
とりわけ、ビタミン量が増え、フィトケミカル値(抗酸化作用と免疫力)が増加します。
研究によると、麻の実スプラウトで免疫系に良い効果をもたらし、コレステロールと血糖値を下げる効果が確認されたそうです。発芽により、麻固有のポリフェノール(抗炎症活性)カンフラビンA/Bの形成が誘発される。向精神性も無く、オピオイドを超える理想的な鎮痛剤としても期待されています。
芽は種子より栄養価の高いものと考えられているものの、ほとんど研究されてない状況です。
日本でも法律改正に伴い、スプラウト栽培用の種子輸入が認められてくるようになれば、世界に先駆けるような面白い展開も可能ではないかと期待している分野です。その意義を確認します。

・根
植物の根にも多くの健康効果が認められてきました。一般的には、消化の促進、免疫強化、ストレス軽減、血糖値の管理、解毒、ホルモンバランスの調整などに有効のようです。朝鮮人参や葛根などを想像いただくと想像しやすいです。
実際、中国の研究機関によると、大麻の「根」の抽出物は、抗炎症、エストロゲン様作用(更年期症状を和らげる)、肝臓保護、抗がん作用などのさまざまな薬理効果を発揮することが報告されているそうです。
とはいえ、花穂や葉に比べて、まだまだ研究されていない状況です。今後更なる可能性を期待したいと思います。

開催スケジュール、申し込み方法は「こちらのページ」をご覧下さい。
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